電車の座席に、AさんとBさんの二人が並んで座っているとします。
二人は、毎朝の通学電車で同じ英単語帳を開き、それを読む勉強をしています。
端から見るとまったく同じ勉強をしている二人ですが、
英単語テストの結果ではAさんが5割、Bさんが9割だったそうです。
二人の元の知識に差が無いとしたら、この差はどこで生まれたと思いますか?
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多くの生徒さんに、英単語を覚えることがニガテ、という意識が見られます。
上記のAさん、Bさんの話を読んで、
「自分もAさんと同じだなぁ。英語の暗記に向いていないのかも…」
そう思うかもしれません。
ですが、それは向き・不向きや地頭の問題ではないかもしれません。
AさんとBさんは一見同じ勉強をしているように見えますが、
その“目”や“頭の中”でやっていることが違うんです。
おそらく、Aさんは視線を左右に往復させ、
単語帳の「英単語」とその「意味」を繰り返し読むことで頭に入れようとしています。
頭の中では、スムーズに
「human ・ 人間、communication ・ 会話、forest ・ 森 ……」
というふうに単語帳に書いてあることをなぞって、頭の中で音読しています。
一方、英単語の記憶が上手いBさんがやっていることは違います。
Bさんは、まず「英単語」だけを見、すぐに「この単語の意味なんだっけ…」と思い出してから、
視線を移し「意味」を見るようにしています。
頭の中では、つっかえながらも、
「human 、たしか 人間 だったはず…、合ってる!
communication 、会話 だっけ…、合ってる!
forest 、なんだっけ…思い出せない…、あー 森 か!」
というふうに、一問一問クイズに答えるように取り組んでいます。
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このように、記憶があいまいな事柄をなんとか思い出そうとすることを
【アクティブリコール】と言います。
人が何かを学習する上で、何度も同じ文章を【読み直す】よりも、
頭に負荷をかけて思い出すアクティブリコールのほうが、圧倒的に記憶に残りやすいそうです。
単語の暗記には、単語帳についてくる赤シートで「意味」を隠しながら進めるのが良いでしょう。
思い出すことを意識して、すぐに「意味」が思い浮かばなくても、少しねばって思い出そうとしてみてください。
また、初めて開くページ・始めて見る単語についても、
「次読んだ時に思い出せるように…!」という意識を持ち、そのための工夫を心がけてください。
現段階で苦手な人も、目や頭の中のレベルで得意な人と同じ取り組み方をすることで
これから得意になっていけるかもしれません♪