皆さんが毎日見ている黒板。
色は深緑色なのに、どうして黒板というのでしょうか。
黒板が緑色である理由には、視覚的および歴史的な背景が深く関わっています。
黒板は、明治5年、日本で学校制度が始まると同時にアメリカから持ち込まれました。
現在の東京大学の前身である大学南校の教師だったアメリカ人のスコットが日本に黒板を紹介したとされています。
それまでは寺子屋で「塗板」という黒板よりも小さな板を使用していましたが、明治10年ごろから黒板が一気に広まり、この「black board」 の直訳で「黒板」と呼ばれるようになりました。
初期の黒板は黒いスレート(粘板岩)で作られていましたが、20世紀半ばになるとスチール製の黒板が登場しました。
当初は黒色のエナメル塗装が一般的でしたが、その後の研究で緑色のエナメル塗装が見やすさ、目の疲労軽減に優れていることが分かり、徐々に緑色が主流となっていきました。
黒色の染料が入手困難だったこと、戦後の心理的鎮静作用等の効果など、緑色になった理由は諸説あります。
学校に通う生徒は毎日長時間黒板を見続けることになるので、長時間見続けても疲れにくい特性の色が選ばれたのは確かです。
黒板に書かれた白や黄色のチョークの文字が、黒い黒板よりも緑色の方がはっきりと鮮明に見えやすいことが研究で示されています。
これにより、生徒たちは授業中に黒板の文字を見やすく、目の疲労も軽減されるのです。
さらに緑色は心理的にもリラックス効果、集中力を高める効果があるため、教室内での学習環境に適しているのです。
毎日見る黒板にも、こういった歴史があったのですね。