胃の中で消化液として活躍する胃酸は胃液の主成分の一つです。
そのpHは1~2と言われていますが、およそ2で酸性を示します。
これは、胃液に塩酸が含まれるためです。
pHは数字が低いと酸性が強いことを表します。
例えばお酢はpH3に近いですし、レモン汁はpH2~3を示します。
胃液の酸性はお酢やレモン汁より強いので、かなり酸性が強いことが想像できると思います。
塩酸には、食物の分解を助けるはたらきのみではなく、食物と一緒に胃に入ってきた細菌を殺菌するはたらきがあります。
そして、私たちの体を守る役割があります。
ですので、人間にとって塩酸はなくてはならないものとなっています。
また、胃液にはタンパク質を分解するペプシンなどの消化酵素がふくまれています。
これらの消化酵素は酸性のもとではたらく性質があります。
食物中のタンパク質を変性させることで、消化酵素による消化を助けるのです。
塩酸は、塩酸は人間の皮膚や眼、呼吸器の粘膜に触れると皮膚や粘膜を損傷する恐れがあるので、直接触れてはいけない、危険な液体です。
また、飲み込んで気道に侵入してしまうと、生命の危険に繋がる可能性もあるため注意が必要です。
そのような塩酸が胃の中に存在しているわけですが、胃は大丈夫なのでしょうか。
胃では塩酸以外にも粘液が分泌されており、その粘液が胃の内側をおおっているため、胃酸から胃を守ってくれています。
そのため、胃の中に強い酸性である塩酸が存在できるわけです。
こう考えると、人体は本当に不思議なことが多いですね。
普段は意識していないことですが、今も胃の中の塩酸が細菌を殺菌してくれたり、消化を助けてくれていたりしているのですね。