梅雨の時期になると、街のあちこちで色とりどりのあじさいが咲いているのを見かけます。
実はこのあじさいの花の色は、土の性質(pH)によって変わることを知っていますか?
あじさいには青、赤、紫などさまざまな色がありますが、これは花びらに含まれる「アントシアニン」という色素によるものです。
アントシアニンはもともと赤っぽい色をしていますが、土の中に溶けているアルミニウムと結びつくと青く変化します。
つまり、あじさいがアルミニウムをたくさん吸収すると青くなり、吸収しなければ赤に、その中間が紫になるというわけです。
では、あじさいがアルミニウムを吸収するかどうかは、何によって決まるのでしょうか?
それは土の酸性度です。
酸性の土ではアルミニウムがよく溶けて植物に吸収されやすくなり、アルカリ性の土では溶けにくくなります。
そのため、酸性の土では青い花、アルカリ性では赤い花、その中間が紫の花になるという仕組みです。
ちなみに、日本では火山が多いことから土壌が酸性に傾いている地域が多く、街中で青や紫のあじさいをよく見かけるのはそのためだと言われています。
また、あじさいの色が途中で変わることがありますが、それは雨によって土の成分が流れ、酸性度やアルミニウムの量が変わることで起きる現象です。
さらに、白いあじさいを見たことがある人もいるかもしれません。
実はこの白い品種は、アントシアニンという色素をもともと持っていないため、土の性質にかかわらず色が変わることはありません。
身近な花にも、実は理科の知識がたくさん詰まっています。
憂鬱になりがちな雨の季節も、あじさいを眺めながら、科学の視点で自然を見てみると楽しくなるかもしれません。
今度あじさいを見かけたら、ぜひ土の性質にも注目してみてください。