思春期の中学生が体調を崩しやすいのには、いくつかの理由があります。
心と体の急激な変化が重なり合うという、まさに“成長の過渡期”にあるため、ちょっとしたことが不調につながりやすいんです。
体の面では、ホルモンの分泌が活発になり、自律神経が乱れやすくなります。
自律神経というのは、私たちの体温調節や消化、睡眠、集中力などを無意識にコントロールしている大切なしくみで、このバランスが崩れると、朝起きられなかったり、頭痛やだるさ、めまいといった不調が出やすくなるのです。
また、成長期に伴う急激な体格変化も、筋肉や骨に負担をかけ、疲れやすさの原因になることがあります。
心の面でも、大きなストレス要因が潜んでいます。
たとえば、学校生活における友人関係、成績や進路のプレッシャー、部活動での負担や人間関係など、精神的な負荷が多いのがこの時期の特徴です。
しかも、中学生はまだ「言語化して他人に助けを求める」というスキルが発展途上なため、悩みを抱え込んでしまいやすい傾向があります。
その結果、心の不調が体に現れ、「学校に行こうとするとおなかが痛くなる」「家では元気なのに登校時だけ頭が痛い」といった症状が起こることも少なくありません。
では、何に気をつければよいのでしょうか。
まずは、規則正しい生活を送ること。
毎朝同じ時間に起きて、朝日を浴び、バランスの取れた朝ごはんを食べることは、自律神経のリズムを整える第一歩です。
夜もなるべく早めに寝て、スマホやゲームは寝る1時間前にはやめておくと脳がしっかり休まり質の良い睡眠につながります。
また、日々の会話やふれあいの中で、子どもが自分の気持ちを話せるような空気づくりも大切にしましょう。
何気ない一言に耳を傾けたり、元気がない日に「大丈夫?」と声をかけるだけでも、安心感が生まれます。
食事の内容にも目を向けるなら、成長期に必要な栄養素(鉄分、カルシウム、たんぱく質など)をしっかり摂ることが、体づくりと免疫力の強化に役立ちますよ。
このように、思春期は不安定さを抱える分、ちょっとした環境や習慣の変化が大きな影響を与える時期です。
体調不良を責めるのではなく、「変化の途中なんだな」と受け止めて、温かく見守ることが一番のサポートになるのかもしれません。