太陽のちょうど真裏、地球から見て180度反対側の宇宙には、地球とそっくりな「もう一つの地球」がある――。
これは「反地球(カウンター・アース)」と呼ばれ、昔のSF小説やアニメ、さらには大昔の天文学者たちも大真面目に考えていた有名なロマンです。
太陽がいつも邪魔をするため、地球からは絶対に直接見ることができません。
「見えないからこそ、何かあるかもしれない」という秘密の場所は、長年人々をワクワクさせる宇宙のミステリーでした。
しかし今から約20年前の2006年、この数千年も続いたロマンに、現代の科学が「答え」を出してしまいました。
犯人は、NASA(アメリカ航空宇宙局)が打ち上げた太陽探査機「STEREO(ステレオ)」です。
STEREOの作戦は、とてもユニークでした。
2機の探査機を使い、1機は地球の「前」を、もう1機は地球の「後ろ」を走らせたのです。
2機はどんどん地球から離れていき、最終的には太陽を左右から挟み込むような形になりました。
こうして、人類がこれまでどうしても見ることができなかった「太陽の真裏側」を、2つの方向からバッチリ撮影することに成功したのです。
この歴史的な観測によって、太陽の裏側のヒミツは完全に明かされました。
そこに映っていたのは激しく燃え盛る太陽の姿だけで、期待されていた「もう一つの地球」の姿も、その影も、どこにもありませんでした。
科学が進歩したおかげで、私たちは宇宙の正しい姿を知ることができました。
でも同時に、太陽の裏側に隠されていた壮大なロマンは静かに消え去ってしまったのです。
謎が解けてスッキリした嬉しさと、どこか寂しい気持ち。
宇宙の歴史には、そんな少し切ない一面もあるのですね。