皆さんは料理中に卵を割って、黄身が2つ入った「二黄卵」に出会ったことはありますか?
「これって温めたら双子のひよこが生まれるのかな?」なんて妄想が膨らみますよね。
でもここで衝撃の事実をお伝えしなければなりません。
実は……黄身はひよこになりません!
「えっ、じゃあ白身がひよこに?」と思った方、残念、白身も違います。
じゃあ何のためにあるのかというと、黄身はひよこが育つための「お弁当(栄養)」で、白身は「水分 & クッション(ベッド)」です。
ひよこになるのは、黄身の表面にポツンとある「胚」という、わずか数ミリの小さな白い点だけなんです。
私たちは普段、巨大なお弁当を見て「これがひよこになるんだ」と思い込んでいるわけですね。
さて、話を「黄身が2つの卵」に戻しましょう。
この卵は、お弁当が2つ入った大盛り状態。実は中心にある「胚」もちゃんと2つ入っているので、スタート時点では双子の準備ができています。
しかし、ここから生物のシビアな現実が立ちはだかります。
そもそも、なぜ双子のひよこは無事に育つことができないのでしょうか?
理由は大きく分けて2つあります。
まず1つ目は「酸素の限界」です。
ひよこは殻にある「気孔」というミクロの穴から呼吸をしていますが、殻のサイズ(表面積)が卵1個分のままでは、2羽が大きくなった瞬間に圧倒的な酸欠になってしまいます。
2つ目は「部屋の狭さ」です。
ギューギュー詰めの空間では、生まれるときに殻を破るための正しい姿勢をとることができません。
じゃあ、片方の強いひよこがもう片方を押し退けて、1羽だけでも生き残るサバイバルが起きるのでは?と思いますよね。
ところがそう上手くはいきません。片方だけでも生まれてくるのは基本的には無理なんです。
なぜなら、卵の中という究極の密室では、2羽の運命は完全に「一蓮托生」だからです。
「どちらが強いか」に関係なく部屋全体の酸素がなくなってしまうため、2羽同時に力尽きてしまいます。
さらに、もし片方が少し大きく育ったとしても、もう片方の体が障害物になってしまい、結局は外に出るための首を振るスペースすら作れず自滅してしまうのです。
どちらか一方が勝者になることすら許されない世界なんですね。
(※温め始めてすぐの超初期段階で片方が成長を止めた場合だけ、もう片方がお弁当を独り占めして1羽だけで生まれてくる例外はあります。)
ひとつの殻に、ひとつの命。
次に卵を割るときは、完璧にコントロールされた命の神秘に感謝しつつ、美味しくいただきましょう!