近年、学校では一人一台端末の活用が進み、デジタル教科書を使って学習する機会が増えています。
2026年にはデジタル教科書を正式な教科書として位置付ける法改正も行われ、今後さらに普及していくことが予想されています。
デジタル教科書には、音声や動画を活用できることや、文字を拡大したり読み上げ機能を利用できたりするなど、多くのメリットがあります。
英語では正しい発音を何度も聞くことができますし、理科や社会では映像によって理解を深めやすくなるなど、紙にはない便利さがあります。
一方で、デジタル教科書には課題も少なくありません。
まず心配されるのが、目への負担です。
タブレットの画面を長時間見続けることで、目の疲れや視力への影響を心配する声は以前から多くあり、文部科学省でも使用時間や姿勢などに配慮しながら活用することが求められています。
また、紙の教科書と比べると、ページ全体を見渡したり、前後のページを素早く見比べたりすることが難しく、「どこに何が書いてあったか」を把握しにくいと感じる人もいます。
ノートに書き写したり、重要な部分に印を付けたりする機会が減ることで、「書いて覚える」という学習が少なくなることを心配する意見もあります。
さらに、機器ならではの問題もあります。
タブレットは充電が切れてしまえば使えませんし、故障や通信トラブルが発生すると、授業や家庭学習が予定どおり進まなくなることがあります。
紙の教科書であれば、電源もインターネット環境も必要なく、いつでも同じように学習できるという安心感があります。
実際に、文部科学省の実証研究では、デジタル教科書は紙の教科書と同程度の学習効果が期待できる一方で、教科や学習内容によって向き・不向きがあり、紙とデジタルを適切に使い分けることが重要であるとされています。
便利だからといって、すべてをデジタルに置き換えれば学習効果が高まるとは限りません。
計算問題を繰り返し解いたり、漢字を書いて覚えたり、図や表を書きながら考えたりするときは、紙の方が学習しやすいと感じる生徒も多いでしょう。
一方で、発音の確認や動画を使った学習などは、デジタルならではの強みを生かすことができます。
これからの時代は、「紙かデジタルか」という二択ではなく、それぞれの長所と短所を理解し、学習内容に応じて使い分けることが何より大切です。
便利な道具に頼り切るのではなく、自分にとって最も学びやすい方法を選ぶことが、学力向上への近道と言えるでしょう。