「犬や猫は、人間ほどたくさんの色が見えていない」という話を聞いたことはありますか?
人間が「赤・緑・青」の3つの光センサーでカラフルな世界を見ているのに対し、犬や猫には赤を感知するセンサーがありません。
彼らの世界は主に「青と黄色」の2色でできています。
これだけ聞くと「退化して不便になったのかな?」と思ってしまいがちですが、実はこれこそが、大自然を生き抜くための「完璧な生存戦略(進化)」なのです。
まずは、なぜ私たち人間に「赤」が見えるのかを考えてみましょう。
人間の祖先である霊長類は、主に森の木の上で暮らしていました。
彼らにとって何より重要だったのは、緑の葉っぱが生い茂る中で「赤く熟した栄養満点の果実」や、
栄養のある「柔らかい赤色の新芽」を見つけることでした。
「新芽って緑じゃないの?」と思うかもしれませんが、実は若葉って紫外線から身を守るために赤く染まるものがたくさんあるんです!
つまり、人間が持つ赤のセンサーは、ジャングルで生き残るための「主食を見分けるセンサー」として進化したのです。
一方、犬や猫の祖先は、薄暗い夕方や夜に狩りをする肉食動物でした。
暗闇の中では獲物が何色かなんて関係ありません。
それよりも「暗くても形がわかること」や「動く獲物を一瞬で捉えること」のほうが遥かに重要です。
そこで彼らは、色を見分けるセンサーを減らす代わりに、「わずかな光をキャッチするセンサー」を目の奥にギッシリと敷き詰めました。
さらに、目の中に入った光を鏡のように跳ね返す「タペタム層」という特殊な膜まで手に入れたのです。
色の豊かさを犠牲にする代わりに、「人間の6〜8倍も夜目が利き、動くものを捉える最強のハンターの目」へと特化しました。
生き物の体の仕組みには、すべて生き残るための「理由」があります。
人間から見れば、犬や猫の目は色が少なくて不完全に見えるかもしれません。
しかし彼らから見れば、夜に目が利かない人間の目は「なんて夜の狩りに不向きで、不便な目なんだろう」と映るはずです。
「みんな違って、みんな良い」というのは、道徳だけでなく生物学の基本でもあります。
それぞれの生き物が、それぞれの生き方に合わせて100点満点の進化を遂げている。
愛犬や愛猫の瞳を見つめながら、そんな大自然のロマンに思いを馳せてみるのはいかがでしょうか。