数学の勉強というと、新しい問題をたくさん解くことが大切だと思っている人は多いのではないでしょうか。
しかし、本当に成績が伸びる人は、新しい問題ばかり解いているわけではありません。
間違えた問題をもう一度解き直し、「なぜ間違えたのか」「次はどうすれば解けるのか」を確認する時間を大切にしています。
実際に教育心理学では、解き直しを含めた「思い出す学習」が、知識を長く定着させるうえで非常に効果的であることが数多くの研究で示されています。
一度解説を読んで「分かった」と思っても、それだけで問題が解けるようになるわけではありません。
解説を見れば理解できても、何も見ずにもう一度解くと手が止まってしまうことはよくあります。
これは理解と定着が別のものだからです。
問題を自分の力だけで解き直すことで、知識や解法を思い出す練習になり、本当の意味で「解ける力」が身についていきます。
教育心理学には「検索練習(テスト効果)」と呼ばれる考え方があります。
これは、教科書や解説を何度も読むよりも、自分の記憶から答えや解き方を思い出そうとするほうが、学習内容が定着しやすいというものです。
数学の解き直しは、まさにこの検索練習そのものです。
間違えた問題を何も見ずに解き直すことで、脳は必要な知識を積極的に取り出そうと働き、記憶がより強固になります。
また、数学で間違える原因は一つではありません。
計算ミスなのか、公式を覚えていなかったのか、問題文の読み違いなのか、それとも考え方そのものが分かっていなかったのかによって、対策は大きく変わります。
解き直しを行うことで、自分がどこでつまずいたのかを正確に知ることができます。
苦手なポイントが分かれば、同じミスを繰り返す回数は確実に減っていきます。
一方で、新しい問題ばかり解き続ける勉強では、同じ間違いを何度も繰り返します。
「できなかった問題」が「できる問題」に変わらないまま次へ進んでしまうため、学習時間を増やしても思うように点数が伸びません。
数学は積み重ねの教科です。
一つ前の内容が理解できていないと、その後の単元でも同じ部分でつまずきます。
だからこそ、一問一問を確実に自分の力で解けるようにすることが重要なのです。
解き直しは、間違えた直後だけで終わらせないことも大切です。
数日後や一週間後にもう一度解いてみると、本当に定着しているかを確認できます。
忘れかけた頃に思い出す作業を繰り返すことは、記憶を長く維持する「分散学習」の考え方にも合っています。
テスト前に慌てて解き直すよりも、普段から少しずつ取り組むほうが学習効果は高くなります。
間違えた問題をそのままにせず、「次は必ず解けるようにする」という習慣を続けていきましょう。