夏休みの終わりが近づくと、子どもたちからよく聞こえてくる言葉があります。
「あと少しで終わる。」
「もうちょっとだから。」
「残っているのは少しだけ。」
ところが、その「あと少し」が何日も続いてしまうことは珍しくありません。
保護者からすると、「昨日も同じことを言っていたよね?」と思う場面もあるでしょう。
しかし、これは単なる言い訳というより、子どもなりの感じ方が影響していることがあります。
例えば、数学ワークがあと5ページ、読書感想文は下書きだけ、自由研究はまとめを書くだけ…。
一つひとつを見ると確かに「少し」です。
しかし、それぞれを合計すると何時間も必要になります。
子どもは目の前の一つだけを見て「あと少し」と感じますが、大人は全体を見て「まだこんなにある」と感じるため、認識に違いが生まれるのです。
また、「終わりが見えている」という安心感も影響します。
最初の頃は宿題の量が多く、何から始めればよいか分からないため、なかなか手を付けられません。
しかし、ある程度進むと「ゴールは近い」と思えるようになります。
その安心感から、「今日は少し休もう」「明日やれば終わる」と考えやすくなり、結果として最後の数ページや最後の作業が長く残ってしまいます。
実際、多くの人が経験したことのある「読書感想文の清書だけ残っている」「自由研究の表紙だけ作っていない」という状態も、この心理に近いものがあります。
☆「仕上げ」が一番時間がかかる理由
勉強でも仕事でも、「最後だけ」が意外と大変です。
作文なら書き終えた後に誤字脱字を確認し、原稿用紙へ丁寧に清書します。
自由研究なら写真を貼ったり、タイトルを書いたりする作業があります。
つまり、「あと少し」というのは、集中力や丁寧さが求められる工程であることが多いのです。
子どもは作業時間よりも、「やることの数」で判断しがちです。
「書くだけ」「貼るだけ」「まとめるだけ」という言葉の中には、30分や1時間かかる作業が隠れていることも少なくありません。
☆「あと少し」を具体的にしてみよう
もし宿題がなかなか終わらない場合は、「あと少し」という言葉を具体的に置き換えてみるのがおすすめです。
例えば、
・数学ワーク5ページ(20分)
・読書感想文の清書(40分)
・理科のプリント2枚(15分)
・自由研究の表紙作り(25分)
このように書き出すだけでも、残り時間が見えるようになります。
漠然と「あと少し」と考えるより、「全部で約1時間40分」と分かった方が、計画も立てやすくなるでしょう。
☆夏休みだけではない習慣
実は、この「あと少し」は夏休みだけの話ではありません。
テスト勉強でも、「あと1ページだけ」と思いながら何日も同じ問題集を開いていた経験はないでしょうか。
社会人でも、「あと少しで終わる仕事」が夕方まで続くことは珍しくありません。
人は、終わりが近づくと気持ちが楽になる一方で、その安心感から行動がゆっくりになってしまうことがあります。
だからこそ、「あと少し」という言葉が出てきたときは、「何があと少しなのかな?」「全部で何分くらいかかりそう?」と具体的に考えてみることが大切です。
夏休みの宿題は、勉強だけでなく、計画を立てる力や作業を見積もる力も育ててくれる機会です。
今年の夏休み、「あと少し」が何日も続いてしまったとしても、その経験は次の長期休みにきっと役立ちます。
ゴールまでの距離を正しく知ることが、宿題を気持ちよく終わらせる一番の近道なのかもしれません。