地球は自転軸が約23.4度傾いた状態で太陽の周りを公転しています。
この傾きがあるため、季節が生まれ、また極地では「白夜(びゃくや)」と「極夜」という特殊な現象が起こります。
南極では、3月下旬の秋分を過ぎると太陽が地平線の下に沈み始め、やがて完全に昇らなくなります。
そして9月下旬の春分まで、約半年間にわたって太陽が一切昇らない「極夜」の期間が続きます。
特に南極点では、3月21日頃に太陽が沈み、9月23日頃に再び昇るため、約6ヶ月間が完全な夜となるのです。
極夜といっても、常に真っ暗というわけではありません。
太陽が地平線のすぐ下にあるときには、薄明(たんこう)と呼ばれるわずかな明るさが空に残ります。
これにより、完全な闇ではなく、青白い光が空を照らす時間帯もあります。
また、極夜の期間中は星空が非常に美しく見えることでも知られています。
大気が乾燥しており、光害もないため、天の川や南十字星などがくっきりと観察できます。
オーロラも頻繁に出現し、幻想的な光景が広がります。
南極にはいくつかの観測基地があり、研究者たちは極夜の間も滞在して観測を続けています。
極夜の環境は過酷で、気温は−60℃以下になることもあり、外出は極めて制限されます。
また、太陽光を長期間浴びないことで、体内時計が乱れたり、ビタミンD不足や季節性情動障害(SAD)といった健康リスクもあります。
そのため、基地内では人工照明を使って昼夜のリズムを保ったり、ビタミンDのサプリメントを摂取するなどの対策が取られています。
極夜は地球の自転軸の傾きと公転の関係を理解する上で重要な現象であり、気象学や天文学の研究にも役立ちます。
また、極夜を体験することは人間の心理や生理に与える影響を調べる貴重な機会でもあります。
文化的にも、極夜は神秘的な存在として文学や映画の題材になることが多く、人々の想像力をかき立ててきました。
このように、南極の極夜は単なる「長い夜」ではなく、奥深い自然現象なのです。