3月も終わりが近づき温かくなってきました。
ニュースを見ると、各地で桜の開花情報が流れています。
さて、日本の代表的な桜の品種というと【ソメイヨシノ】です。
あまり植物に興味のない方でも、この名前は聞いたことがあるのではないでしょうか?
生育しやすく薄桃色の花がキレイに咲くので、日本全国に植えられています。
このソメイヨシノですが、実はすべてのソメイヨシノは【クローン】だということが知られています。
クローンとは、元となる遺伝子と全く同じ遺伝子を持つ個体のことです。
たとえば皆さんはお父さんとお母さんの遺伝子を半々に受け継ぎ、皆さん特有の遺伝子を持っています。
だからこそ、両親と顔などの特徴が似ることはあっても、全く同じということはありませんね。
一方、クローン(元の遺伝子と全く同じ遺伝子を持つ)場合、
全くと言っていいほど同じ特徴を持って生まれることになります。
日本では“接ぎ木”という技術で元となるソメイヨシノを全国に広めています。
これは土台となる木に切れ込みを入れ、そこにソメイヨシノを挿し込んで育てる方法です。
土台は別品種ですが、そこから上の成長した部分については、元のソメイヨシノとおなじ遺伝子を持っています。
これはつまり、クローンということです。
クローンのソメイヨシノは、すべて同じ特徴を持っています。
すべての木が、同じ条件で開花します。
だからこそ桜の開花予想どおりにその地でいっせいに桜が満開になるんです。
これはクローンならではの光景といえます。
一方で、クローンだからこそのデメリットもあります。
すべての個体が同じ遺伝子・特徴を持つということは、
たとえばソメイヨシノにとって天敵となるような病虫害が流行ったとします。
もしソメイヨシノがクローンでなくてそれぞれの微妙に異なる遺伝子を持っていたなら、
病虫害に強い個体は生き残り、そこから種を存続させることがあり得ます。
しかし、ソメイヨシノはすべて同じ特徴を持っています。病虫害への耐性もすべて同じです。
これでは、病虫害が流行る先々でクローンのソメイヨシノがやられ、絶滅の危機に瀕してしまうということです。
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きれいで、春の陽気とともに気分を上げてくれる桜。
その背後の事情を知ってから見てみると、また違った感想が出てくるのではないかと思います。
遺伝子や植物の交配については、理科の生物分野で学びます!
今回の話に興味を持った方は、ぜひ意欲をもって勉強を進めてみてくださいね♪