今回は、“最初に少し苦手という印象を抱いた教科が、時間を経るごとにどんどん苦手になっていく”
ということについて考えたいと思います。
治安・環境に関する用語に「割れ窓理論」というものがあります。
これは、ある地域の治安が悪化する経過を理論化したものです。
その経過は以下のようなものです。
1.軽微な事件によって建造物の窓が割れる
2.割れた窓が修復されないまま放置される
3.放置された割れ窓は「ここは誰にも関心を持たれていない」という印象をもたせる
4.「3」によって犯罪が起きやすくなる。地域のモラルの低下を招く
5.さらなる治安の悪化、凶悪犯罪の増加が加速する
おおむねこういったものです。
私たちが治安の悪い地域を見たとき、自然に
「治安が悪いから窓が割れてるんだ」
と思いがちです。
ですがこの理論では「窓が割られたまま放置されたから治安が悪化した」といいます。
一見直観とは反するのが面白いところです。
さて、この理論は、ある教科や分野が苦手になっていくサイクルにも似ているように思います。
思い返してみると、苦手教科が生まれる最初の最初、
そのきっかけはほんの些細な挫折だったのではないでしょうか。
しかし、その些細な挫折を放っておくことで、心理的にも悪影響が及び、
どんどん大きな苦手になってしまうかもしれません。
1.ある科目の一分野で一つだけわからないところが出る
2.それを復習しないまま放置してしまう
3.「この分野は勉強してもわからなかったやつだ」と思い、モチベーションが下がる
4.意欲が減ったことに加え、基礎を放置したままになっているため次の勉強も上手くいかない
5.苦手だったたった一分野が、科目全体、教科全体に広がっていく
いま大きな苦手教科がある方には、このような経験に覚えがあるのではないでしょうか。
このように最初のちょっとした挫折を大きな苦手に繋げるのを防ぐためには、
「1」の段階ですぐに対処することが重要です。
窓が割れたらすぐに修復するように、分からないことが出たらなるべくすぐに克服する。
そうすることでその教科について「なにも取りこぼさないぞ!」という高い意識を持つことが出来ると思います。。
大事なのは一度習って分からなかったことをすぐに取り戻せるための習慣・仕組みづくりです。
今は新学年が始まったばかりの4月。
これを一つの節目として、日々の勉強の中で割れたままにしている窓がないか注意するとともに、
これまでの勉強の中で割れたままにしていた窓を修復していきましょう!