「生態系」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。
これは、その環境における動植物など生き物全体を指す言葉です。
例えば近くの自然に目を向けると、何種類もの植物があり、虫がいて動物がいます。
こういった環境にいる生き物全体を指して「生態系」です。
なぜ「生態系」という大きなくくりで見るのでしょうか。
人間が何かの目的で手を加えるなら、「一匹」や「一種」という単位で見ても良いように思えます。
その答えは、同じ環境にいる生き物のつながりにあります。
そして、生き物全体の環境を守りつつ人間の生活との兼ね合いを合わせていくには
この「生態系」という概念がとても大事なんです。
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例えば、ある湖があります。
その湖には、4種類の生き物がいるとします。
1.プランクトン
2.水生昆虫
3.小魚
4.大きな魚
このような「生体系」が成立していると考えて下さい。
この4種は以下のように栄養を摂って生活し、種を受けつないでいます。
①プランクトンは、光合成をして暮らしています。
②水生昆虫は水中のプランクトンを食べて暮らしています。
③小魚は水生昆虫を食べて暮らしています。
④大きな魚は小魚を食べて暮らしています。
(このような「食べる」「食べられる」の関係のつながりを【食物連鎖】といいます。)
それぞれの種類の個体数は、プランクトンが最も多く、
プランクトン>水生昆虫>小魚>大きな魚
と、少なくなっています。
この生態系は、現在のそれぞれの個体数で成立し、捕食や生殖によって数が一定に保たれていたとします。
さて、ここに人間の手が加わるとどうでしょう。
「この湖の【小魚】が美味しいらしい!」
と、小魚を釣るのが流行ったとします。
そうなるとこの湖の生態系はどうなるでしょうか。小魚が少なくなるだけでしょうか。
少し考えてみてください。
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人間の手が加わった影響は小魚が少なくなるだけではありません。
まず、小魚が少なくなると、それを捕食し栄養源としていた【大きな魚】が困ります。
食べるものが無くて栄養が摂れずどんどん個体数も減っていってしまいます。
やがて、小魚だけでなく大きな魚も居なくなってしまいます。
また、一方でこれまで小魚に捕食されていた【水生昆虫】は、
天敵がいなくなって個体数が大きく増えます。
するとどうでしょう。
水生昆虫が増えるということは、それだけ多くプランクトンを捕食するということです。
どんどんプランクトンが捕食され、やがて食い尽くされてしまいます。
そうなるとエサだったプランクトンが居なくなってしまったため、
水生昆虫は食べるものが無くなってしまいます。栄養が摂れずどんどん個体数が減ってしまいます。
やがて、水生昆虫もプランクトンも居なくなってしまいます。
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いかがでしょうか。人間からしたら小魚の一種類を乱獲したに過ぎなかったかもしれませんが、
結果的に湖に居るすべての生き物を困らせ、追いやってしまう結果になりました。
これは自然環境が元々適切な「生態系」を保持していたところに、
無思慮に人の手が入ってしまったからです。
自然の生き物は、それぞれ独立してその環境に暮らしているのではありません。
食物連鎖やその他利害関係といった繋がりをもって暮らしているんです。
だからこそ、生き物の環境を考える上では「生態系」全体を考えないといけません。
これは、捕獲や駆除、もしくは保護・保全についてもそうですし、
よく聞く【外来種】の問題もそうです。
もともとの生態系に居なかった生物が乱入することで、生態系全体を壊してしまうんです。
環境問題が叫ばれる現代。ぜひ「生態系」という言葉を覚えておいてくださいね。