空から5mm以上の氷の粒が降る現象のことを雹(ひょう)といいます。
雪やあられ等よりも大きく硬く重いものも多いため、
人にあたると怪我を負ったり、車や窓ガラスの破損につながったりします。
さて、そんな雹ですが、日本で最も雹の多い季節は
意外にも“5~7月”です。
雪やあられの仲間である雹が、なぜ初夏に観測が多いのでしょうか?
その秘密は、大気の上昇・下降やそれに伴う温度の変化などにあります。
まず、雹は、
『大気下層が暖かく、上層に寒気が残っている』
という限定的な大気の状態でのみ起きます。
初夏になって日射が地面を暖め、地表付近の空気が暖かくなります。
その一方、大気上層に、大陸から寒気が流れ込んだり残っていたりすることがあります。
そうなると、大気下層に暖かい空気、上層に冷たい空気があることになります。
実はこのような状態はとても“不安定”なものなんです。
下層の暖かい空気は、密度が下がって「軽く」なり、
上層の冷たい空気は、密度が上がって「重く」なります。
「軽い空気が下にあって、重い空気が上にある」
という状況を想像してみてください。
重い空気が上から落ちてきて、入れ替わるように軽い空気が上昇すると思いませんか?
そうして急上昇した空気が積乱雲になり、雹を生みます。
つまり、初夏の「地表付近の暖かさ」と「上空の冷たさ」という二つの条件が合わさって
雹につながっているということです。
「初夏に雹が多い」というのは直感的には意外に思えることですが、
科学の目で見てみると、その理由を納得できますね!