世の中の植物は、全体の8割を占める「種子植物」と、残りの2割の「シダ・コケ植物」に分けられます。
「種子植物」はその名の通り種子を作ることで子孫を残し、ものによっては世界中に繫栄します。
しかし、ここで思い出してほしいのですが、植物は地面に根を張るので、
動物のように歩いて移動したりしませんね。
それにも関わらず、ある地域が原産の植物が、他の地域や大陸をまたいで繁栄することがあります。
いったいどのように植物は生息地を広げているのでしょうか。
実はこのことは、植物が種(しゅ)を繫栄させるために進化して得た様々な性質によるのです。
①風で運ばれる
種子植物が種を遠くへ運ぶ方法として、まず“風”があります。
種の重さが軽い植物の場合、強い風さえ吹けば種を遠くまで飛ばせますね。
また、タンポポやススキのように、風に飛ばされやすいように綿毛を持つものもあります。
タンポポなんかは、ちょっと口で吹いただけでも飛んでいくほど軽いので、
大気中の風や上昇気流があるときには、相当遠くまで飛んでいきそうですよね。
②水を使って運ばれる
海辺に生息する植物には、種子を海流に流すことによって大陸を渡って種を広げるものがあります。
こういった種は内部が空洞だったりスポンジ状だったりと海に浮きやすいつくりをしていて、
数か月以上のかなり長い時間海を漂い、大陸にたどり着いて芽を出します。
また、雨粒を使って種子を運ぶ植物もあります。
日本固有種のヤマネコノメソウは、雨粒が落ちてきた衝撃で種を飛び散らせます。
このような特徴は、梅雨に種子を付ける植物にたびたび見られるものだそうです。
③動物に運ばれる
種子を動物に運んでもらうことによって生息地を広げてきた植物もいます。
例えば、皆さん“オナモミ”という服にくっつく植物で遊んだことはないでしょうか。
オナモミは、その種子が動物の毛皮や人間の衣服などにくっつくことで生息圏を増やしてきたとされています。
また、動物に食べられることによって運ばれる種子もあります。
一部の果実を持つ植物は、鳥や動物に食べられ、
その中の種子がフンとして排出されることで遠くまで運ばれるのです。
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さて、種子の運ばれ方を見てきました。
植物は移動できないからこそ、いろんな方法で繁栄を試みてきたということがよくわかりますね。
今回は種子について見てきましたが、種子のもととなる花粉のやり取りにも、
風や虫など様々な方法があることが分かっています。
町を歩いていると
「なんでこんなところにこんな花が?」
というような変なところに植物があることがあります。
そんなときには、地形や人の活動などを考えて、自分なりに考察してみるのも面白いかもしれませんよ♪