私たち人間はものを認識するとき、言葉を介します。
例えば、木になる実で、甘くて、リンゴやバナナやブドウなどを含むもの全体のことを、
“くだもの”という一言で言い換えて「くだものがある」というふうに人に伝えたりしますね。
つまり、ここでは「木になる実で、甘くて…」という対象がさす“イメージ全体”を
“くだもの”という言葉で呼んでいる、ということができます。
つまり、【イメージ → 言葉】という変換が行われているということです。
さて、このことを踏まえてみると外国語学習はどうでしょう。皆さんは英語を勉強してますよね。
例えば「くだもの」が英語で「fruit」だということを覚えるには、
まずくだもののイメージがあり、それに“くだもの”という言葉があてはまることを知っていて、
それが英語という別の言葉では“fruit”と呼ぶことを覚えます。
つまりここで起きている変換は
【イメージ → 日本語 → 英語】かと思います。
実際に皆さんも英単語を覚えるときには、
「くだもの」(日本語) は「fruit」(英語)
というふうになんども繰り替えして音読したり書いたりするのではないでしょうか。
さて、この【イメージ → 日本語 → 英語】という変換での覚え方ですが、
実はこの覚え方だけでは問題があります。
どこで問題が起きるかというと、「使い方の応用」と「言葉にする際の瞬発力」です。
「使い方の応用」について。
例えば、「leave」という単語は「出発する、残す」と教えられると思います。
「The plane will leave the airport at 11:00am.(その飛行機は午前11時に空港を出発する)」
といったふうにです。
さて、では「leave」が「出発する、残す」とだけ覚えていた場合、次の英文の意味は分かるでしょうか。
「My wife left me.」 * wife:妻 、left:leaveの過去形
言葉だけで覚えていると「妻が私を出発した?」「妻が私を残した?」と
あまり意味が通じない和訳になってしまいますね。
実は、英語のネイティブスピーカーは「leave」という言葉を、
「何かを残してそこから立ち去る」という“動作のイメージ”で捉えています。
だからこそ先に書いたように
「出発する」=「元いた場所を残して立ち去る」
「残す」=「何かを置いて立ち去る」という意味を持つのです。
さて、「leave」に「何かを残してそこから立ち去る」という“動作のイメージ”があったなら、
「My wife left me.」は、
妻が離れていった、つまり、出ていった・離婚したというイメージが想起できるはずです。
直訳を暗記するのではなく、ネイティブスピーカーがその単語に持っているイメージを捕えて
【イメージ → 英語】という、直通の変換で覚えると、多様な用法に対応できるようになります。
例に出した「leave」のように、もとの英単語が含むイメージと
それを直訳した日本語とではどの単語でも多少のズレがあり、
【日本語 → 英語】だけでは意味を完全には捕えきれません。
このことは英語を勉強する上でとても大きな障害になります。
また、【日本語 → 英語】だと「言葉にする際の瞬発力」に問題が出るというのも、このことに関係します。
英会話では、相手の話し言葉を聴き取らないといけませんし、瞬時に言葉を返さないといけません。
このときに、相手の英語を【英語 → 日本語 → イメージ】と変換していては遅くなってしまいますし、
言葉を返すときにも【イメージ → 日本語 → 英語】と変換するのは時間がかかります。
それよりは、相手が話したことを【英語 → イメージ】と即座に捉え、
頭に浮かんだ返答を【イメージ → 英語】と変換して話せた方が速いです。
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実際の勉強では、
・言葉だけでなく、動作や情景のイメージを頭に思い浮かべながら英語を読む
・絵や図を使った単語の説明に着目する・調べる
といったやり方が効果的だと思います。
【イメージ ⇔ 英語】という変換がスムーズに出来るようになるほど、
ネイティブスピーカーのように英語を扱えるようになると思いますよ♪