数学の問題には、問題文に直接そうと書かれていなくても
前提として分かっているものとされているルールがあります。
例えば、
「大問Ⅰ 次の(1)~(3)の方程式を解き、x,yの値を求めよ
(1)2x + 1 = 5
(2)3x + 2 = 17
(3)3x +3 = 15 かつ x + 4y = 12 」
このような問題があった場合、
(1)~(3)には、それぞれの「x」の値があります
(たまたま文字が同じだけで、それぞれ別の「x」を扱っているということです)。
その証拠に、(1)は x=2 となりますが、(2)は x=5 、(3)は x=4 になります。
これは、それぞれの小問ごとにいわばxの値がリセットされているからです。
ただ、この手の問題に慣れていない方は以下のような混乱をすることがあります。
「(1)を解いたら…、x=2 になった!
次は、(2)のxにはさっきの「x=2」を代入して……。って、あれ、
3×2 + 2 = 17 つまり 8=17になっちゃった!
どういうこと??そもそも何を求めればいいの!?」
せっかく基本的な解法は分かっているのに、
このような勘違いで解き損ねてしまうのはもったいないですね。
また、(3)は、二つの式が「かつ」で結ばれている【連立方程式】です。
皆さんは「{」の記号で二つの式がまとめられている形の方がよく見るかもしれませんね。
この場合は、(3)の1つ目の方程式「3x + 3 = 15」で求めた「x」の値は、
2つ目の方程式を解く際に使います。
(3x + 3 = 15 より、x=4
これを2つ目の方程式「x + 4y = 12」に代入すると、
4 + 4y = 12
yについて解くと、y=2 )
連立方程式は、
「方程式1」かつ「方程式2」が成り立つx,yの値を求めるものなので、
「方程式1」で出た「x」を「方程式2」でも使える(使えないといけない)のです。
次のような問題ではどうでしょう。
「大問2 x,yの方程式 x+2y=19がある。次の問題に答えよ。ただし0≦x≦3とする。
(1)x=2のときのyの値を求めよ。
(2)yの値域を求めよ。 」
この場合、問題となっている方程式や0≦x≦3といった条件は、大問を通して使い続けるものです。
大問で与えられた条件は、その中の小問すべてに当てはまります。
(1)ではx=2のときのyの値を求めますが、
だからって今後も「x」の値が「2」だと決まったわけではありません。
あくまで、x=2のときのyの値を求めているにすぎないのです。
(2)では(1)のことを引きずってはいけません。
条件としてある0≦x≦3だけを考えてyの値域を検討すればいいのです。
こういったルールは、分かっている人にとっては当たり前ですが、
慣れていないと混乱に陥ってしまうことがあります。
ちゃんと勉強して解法が分かっていているにも関わらず、
大問や小問のルールに勘違いがあって解き損ねてしまうケースも多々あります。
普段の宿題や問題演習の時点から「自分は何を求めようとしているか」や
「問題文がどのように表現されるものか」といったことに気を配っていれば、
どんどん問題文のルールが分かってくると思います。
そして、このことは数学自体の理解にもつながります。
テスト前や受験前には、
普段解いている問題がどのような問われ方をされているか
改めてチェックしてみてみてくださいね。