とくに小学校の先生のマル付けに関して、SNSで定期的に話題になるものがあります。
それは、本来マルをつけるべき解答に対してバツがつけられた答案の画像です。
たとえば
「リンゴ1つの値段は150円です。3つ買うと合計はいくらになるでしょう」
という問題に、
「3×150 = 450」
と、生徒は本来なら正解にすべき解答を書いているのに、
「×(バツ) 150円が3つだから 150×3 と書きましょう」
といったものです。
「3×150」も「150×3」も数学的には一緒で、導かれる答えも同じです。
また、文章問題の言葉とかけ算の順番なんて、中学以降の数学ではほとんど気にしません。
もちろん、小学校の先生だってそのことは分かっているはずです。
ではなぜこのような理不尽にも思えるようなバツをつけるのか。
その理由は、学校の授業が集団教育で行われることにあると思います。
集団教育、特に学年が低い段階ほど、生徒は先生を“マネする”ことが重要になってきます。
これは、この段階の生徒はまだ教科について考える力や材料が少ないためです。
そして、新しいことを教える授業で生徒全員にマネしてもらおうと思ったら、
横一線で、おなじ形、手順をなぞってもらった方がクラス全体として成果が出やすいんです。
その中で一人だけ、「順番変えても答えは一緒なんだからいいじゃん」と気づき
奔放なやり方をする生徒が出てしまうとどうでしょう。
その子はその時は良くても、それを踏まえた先の範囲において、
全員向けの説明から漏れてしまう可能性があるんです。
とくに算数は前後の流れが重要です。
そして、まだ数字に慣れていない小学生は、「言葉」を主な道具として算数を理解しないといけません。
先の例で言うと、自由なやり方のかけ算に慣れてしまった生徒は、
次の割り算の授業のときに先生の言葉にピンと来ず、躓いてしまうかもしれないんです。
この件に関してSNSでは、
「子供の思考の自由さを奪う」「理不尽で、勉強嫌いを生む」という意見もあります。
確かに、本来合っているものにバツをつけることについてはやりすぎでしょう。
ただ、先生も上で書いたような理由があってのことかと思いますので、
出来れば、採点で「○(マル) だけど…」と子供がイヤにならないように
言葉を加えてくれるといいのではないかと思います。