世の中を統計的に見るために、最もよく使われるのが“平均値”です。
テレビのニュースやワイドショーを見ていても、
「国民の平均年収が~~」
「物価の平均上昇率が~~」
と、「平均」という言葉をよく耳にします。
調査する集団の全体の現状や推移を見るために、平均値が使われているんですね。
さて、ではどんな状況でも、統計を扱うときに“平均値”は使えるものなのでしょうか。
まず、平均値とは対象となるデータの値をすべて足し合わせ、そのデータの個数で割った値のことです。
たとえばある会社の平均年収を出したいなら、全従業員の年収を足し合わせて、従業員数で割れば算出できますね。
ここで、ある回の定期テスト、数学と英語の点数結果を見てみましょう。(受験者は五名のみです)
結果をまとめてみたところ、どちらも平均点が「60点」だったとします。
だいたいの定期テストは平均点が60点付近になるように作られるものなので、
この平均値を見ると、教師も生徒も「おそらく適切な難易度だったんだな」と思えそうです。
しかし、そのデータの一つ一つを見ていくと以下のような場合だとどうでしょう。
【数学】
Aさん … 65点
Bさん … 70点
Cさん … 55点
Dさん … 47点
Eさん … 63点
【英語】
Aさん … 100点
Bさん … 56点
Cさん … 49点
Dさん … 46点
Eさん … 49点
それぞれの教科を見てみると、数学ではどの生徒も60点付近の点数を取っていますが、
一方で、英語では、Aさんだけがとびぬけて高い点数を取っていて残りの四人は低調ですね。
この場合、数学と英語は平均値こそ同じですが、難易度も同じだったと結論付けることは難しいです。
Aさんが英語が特別に出来すぎるだけで、難易度自体は難しかったと考えるべきでしょう。
データの中に、Aさんの英語ようなとびぬけた値があると、
平均値のみから何かを考察するのは難しいということです。
(このようなとびぬけた値のことを“外れ値”といいます)
このことを知っておくと実生活でも役に立ちます!
たとえば怪しい広告に「このセミナーの受講者は年収が平均100万アップした!」とあったとき。
この文章だけ読むと、受講者の全員がそうだったような印象を抱きます。
ですが、一人だけたまたま1000万円アップして、のこりの9人はそのままだったかもしれません。
データを集め集団の現状や推移を見るために、統計では「平均値」だけでなく
「中央値」「最頻値」「標準偏差」など、さまざまな概念が使われます。
そして、正しく考察するためにどの値を使うべきかは、勉強してその性質が分かってないといけないんです。
その知識は、皆さんが将来家計簿をつけたり金融商品を扱ったりするときに役立つものでしょう。
電卓、表計算ソフト、AIなど、技術の発展に伴ってデータを扱う手段は豊かになりましたが、
そのデータをどのように扱うべきかは結局人間に任される場面が多いです。
学校では数学【統計・データ分析】といった分野で習うことです。
将来必ず役に立つ知識だと思って、はりきって勉強しましょう♪