先日、京都大学が2026年春の入学者向け入試から、
理学部・工学部の特色入試において“女子枠”を設けることを発表しました。
枠の内訳は理学部15人、工学部24人。その分、一般選抜での募集人数を減らす予定とのことです。
昨今、理工系学部を中心に女子枠を設ける大学が増えています。
東京工業大学や名古屋工業大学など、国公立だけでも一〇大学ほどが女子枠を設けています。
従来、理工系学部は、所属学生・出身者の男子割合が多いことが問題視されていました。
大学機関やその分野の研究者の性別が一方に偏ることは、その業界の多様性の低下につながり、
視点が限定的になったりコミュニティが閉鎖的になったりすることにつながります。
具体例を一つ上げると、たとえば工学部出身者が男性ばかりだと、
女性特有の問題に対して工学分野からのアプローチが遠のいてしまいますね。
また、業界がすでに男性ばかりだと、そこに女性が入ってくる可能性も低いままでしょう。
女子枠の設置は、
・このような現状に待ったをかけること
・理工学分野で活躍する女性を増やすことで「女子は理工学系に向かない」という空気感を無くすこと
・空気感や偏見によって、進路を考える小中高生が能力や興味を閉ざしてしまわないこと、
といったことを目的に持っている点で各大学で共通していると思います。
一方で女子枠に対しては“不公平じゃないか”という声もあります。
同じ大学に入学するのに、男子と女子とで入学の基準が異なること。これ自体を見ると確かに不公平かもしれません。
しかし先ほども言ったとおり、世の中には理工系業界の男女率の偏りや、
「女子は理工系に向かない」という空気感や偏見が残っています。
そしてその偏りや空気感・偏見こそが、女子の理工系への意欲を損なっているとも指摘されています。
この点を見ると、これまではすでに女子に対して不公平な状況があり、
女子枠はその是正のためだということもできます。
また一方で、
「入学水準の低い女子枠を設けることで、むしろ理工学系出身の女性への軽視や差別につながるのではないか」
とも指摘されています。
たとえば履歴書に理工系学部卒業とあっても「でも女子枠なんじゃない?」と軽視されてしまうようなことです。
この指摘通りになるかどうかは未来のことなので分かりません。
たしかに女子枠が拡大するほどにそう見る人は出てくるかもしれません。
逆に、女子枠で入学した学生が入学後や卒業後にしっかり活躍することで、
そういった見方をする人が減るかもしれません。
理工系学部の女子枠の設置は、日本ではまだここ数年で始まったばかりです。
女子枠がどのような役割を果たすか、社会にどのように受け止められるかは
これからの動向を見ていく必要があります。
いま進路を考えている生徒さんも、女子枠を受けることや入学した後のことなど
調べたり考えたりしてみてくださいね。
もしかしたら皆さんの素質や能力を最大限に活かせる道がそこにあるかもしれませんよ♪