皆さんこんにちは。
本日は数学に関するちょっとしたお話しをしたいと思います。
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突然ですが、皆さんが親とお小遣いの約束を交わそうと思ったとき、
「1日あたり200円あげる」(―Ⓐとします)
と言われた場合と、
「月の1日目は1円、2日目は2円、3日目は4円、4日目は8円…という風に、
1円から始まって、月末まで一日あたりにあげるお小遣いが2倍されていく」(―Ⓑとします)
と言われた場合、
どちらを選ぶとより多くのお小遣いをもらえると思いますか?
Ⓐは、月の1日目から200円をもらえるのに対して、
Ⓑは、月の1日目はたったの1円、2日目は2円……、5日目でもまだ16円です。
こうして並べてみると、直感的には、Ⓐの方が多くのお小遣いをもらえそうですよね。
しかし、実際に計算してみると、
Ⓑの方が圧倒的に多いお小遣いをもらえるということが
分かります。
月が31日まである7月で考えてみましょう。
まず、Ⓐの場合。
一日当たりのお小遣いが200円ですので、
ひと月にもらえるお小遣いは
200(円)×31(日)= 6200(円)
ですね。
次にⒷの場合。
1日あたりのお小遣いが、1円からスタートして2倍、2倍…となっていきますので
ひと月にもらえるお小遣いの計算式は
1+2+4+8+16+32+64+128+256+……+○○=△△
といった形になります。(上式を「(☆)」とします)
上式(☆)において、例えば「32」は、6日目のお小遣い、32円を指します。
ここで、x日目のお小遣いがy円、という風に一般化すると、
y=2^(x-1) ( ←「2の(x-1)乗」を表します。)
となります(日を重ねるごとに2倍、2倍となっていくので、2の累乗で表せます)。
確認のために6日目を見てみると、
たしかに2の(6-1)乗の32円がお小遣いになっていますね。
さて、すこし難しい話が出ましたが、
ここで本題です。
1日目から31日目までの日々のお小遣い、
つまり、
xが1の時から31の時までのyの値、
これらを足し合わせたら、いくつになるでしょうか。
ぜひ頭の中で「このくらいかな」と予測を立ててみてください。
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途中計算は、高校でならう『数列』というものを使うため
難しくなるので省きますが、
Ⓑの場合の一か月あたりのお小遣いは、
なんと、
21億4748万3647円になるんです!!
2日目までは1+2で“3円”、
5日目まででも1+2+4+8+16で“31円”だったのに、
46億なんて数になるとは、
恐ろしいですね……。
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さて、以上の話から分かりますが、
“累乗”で増加していく数値は、元の値がそれほど大きくなくても、
「x乗」のxの値が上がっていくにつれて、ものすごいペースで伸びていきます。
例えばここに、
「n^x(nのx乗)」
という数と、
「n×x(nかけるx)」(ともにn,xは正の数)
という数字があったとしたら、
xが小さいうちは「n×x」の方が大きいこともあるかもしれませんが、
xが十分に大きくなるにつれて、「n^x」は「n×x」より圧倒的に大きな数に
なり、その差はどんどん離れていきます。
(ただしnが1以下の数の場合はこの限りではありませんので、注意が必要です)
以上の事実は、中学数学で出がちな『値の大小比較』や、
特に高校数学でグラフを書く際に、
とても良い指針になる知識です。
さらに、意外に思われるかもしれませんが、
感染症の感染者数の増え方や、
人口増加と食料不足の関係を考えるうえでも役に立ちます!
ぜひ、今回ご紹介したお小遣いの話とセットで
覚えておいてくださいね!