何をするにつけても、そのパフォーマンスは脳の“思い込み”によって上下するものです。
例えば、幼少期に海で溺れかける体験をした人が
大人になって十分な体力を備えた後でも、ずっと泳げないままでいることがあります。
これは、いちど溺れかけた“トラウマ”によって、
水の中を「怖いもの」として思い込んでしまっているからでしょう。
その思い込みのため水の中で頭が混乱し、
結果、持っている体力や知識を発揮することができなくなってしまいます。
このような“思い込み”のパフォーマンスへの影響は、勉強に関してもよく見られるものです。
例えば、これまでの経験から「自分は数学が苦手だ」と強く思い込んでしまっている場合、
実際の問題を目の前にしたとき、本来のパフォーマンスを発揮できないものです。
これは、「数学を考える→分からなかった」という経験をこれまで多くしてしまったため、
無意識に「どうせ考えても分からないだろう」と思い込んでしまい、思考が停滞してしまうんです。
逆に言うと、数学が得意でこれまで多くの成功体験を重ねてきた生徒は、
「この問題も頑張ればきっと解けるはず!」と思い込めるため、少ないストレスで高い集中力を発揮できるんです。
では、苦手な生徒はずっと苦手なままでいるしかないのかというと、そういうわけではありません。
“思い込み”から自由になり、本来の力を発揮できるためのアプローチを2つご紹介します。
①長期的なアプローチ
失敗体験を重ねるうちに“思い込み”が形成されてしまったのであれば、
その逆の“思い込み”を形成できれば良いわけです。
つまり、苦手教科において成功体験を少しずつ積み重ねていくことです。
自分にとってムリのない難易度の問題を日常的に解き、
「自分はこの教科で正解できるんだ」と思う回数を多くしましょう。
もともと持っていた“思い込み”が徐々に薄れていき、やがて苦手意識も無くなることが見込めます。
②短期的なアプローチ
この方法は多くの方が意外に思うことかもしれませんが、
授業、宿題、テストなど、その教科に向き合うとき、
自分が、誰か特定の別人になっていると思い込むようにしてみてください。
たとえば自分のことを、『その教科が得意でいつもスラスラ解いているクラスの友達』や
『教科担当の先生』だと自己暗示して思い込んでみてください。
上手くいけば、一時的に“思い込み”から解放され、本来の力が発揮できるかもしれません。
勉強は、努力だけでなくメンタルも重要な要素です。
克服できずにいる苦手教科がある方は、いちどメンタル面からも改善を図ってみてはいかがでしょうか。