数学が苦手な生徒の答案を見てみると、式変形の書き方が間違っていることが多いです。
特によくある間違えのパターンが、
「もとの式と変形後の式を「=」でつなぐ」
というものです。
例えば、
「2y+3=2(x+1)+5」
という式を「y=」という形に変形したいとき、
正しい書き方の答案の一例は以下のようになります。
【正しい書き方】
2y+3=2(x+1)+5
2y=2(x+1)+2
2y=2x+2+2
2y=2x+4
y= x+2
このように「等式」を縦に並べていく書き方でOKです。
同じ問題を、書き方を間違えた生徒は以下のようにしてしまいます。
【間違った書き方】
2y+3=2(x+1)+5
=2y=2(x+1)+2
=2y=2x+2+2
=2y=2x+4
=y= x+2
この書き方のどこがまずいか分かりますか?
一見同じ計算手順ですし最終的に到達したものは合っていますが、左端の「=」がすべて余計です。
「=」は、その左右が等しいことを示すための記号です。
上の例の場合、一段目では左辺と右辺が等しいことを示しています。
しかし、この解答のように二段目の頭に「=」を書いてしまうと、
一段目の右辺「2(x+1)+5」と二段目の「2y」が等しいことになってしまうんです。
「2(x+1)+5」は、「2y+3」と等しいはずなのにこれはおかしいですよね。
二段目~五段目までも同様の矛盾が起きています。
繰り返し言いますが、「=」は等しいものをつなぐ記号です。
それなのに異なるものを「=」で結んでしまっているので、この解答は減点せざるを得ません。
また、この書き方は計算ミスや勘違いが非常に起きやすいものでもあります。
このような書き方が起きる原因は「なんとなく式変形はこうやってするもの」という
イメージがあるからではないでしょうか。
確かに、解答に左側に「=」を縦に並べる書き方はあります。
しかしそれは、どちらかの辺を一つのかたちに固定した場合の書き方です。
【左辺を固定した例】※先ほどの問題ではありません
y = 2(x+2)+5
= 2x+4+5
= 2x+9
このようなときは、左辺と右辺は常に同じものをつないでいる(ただ右辺の形が変わっているだけ)ので
「=」の使い方として正しいです。
途中までだけ左辺を固定する場合は以下のように書きます。
【途中まで左辺を固定した例】※最初の問題です
2y+3=2(x+1)+5
=2x+2+5
=2x+7
2y=2x+4
y=x+2
・ ・ ・
計算は数学のもっとも基礎的な力です。
仮にどれだけ思考力があったとしても、計算の仕方がまずかったら問題は解けません。
また、「計算さえ出来れば得点できる問題」というのもあるので、
そういった問題は数学が苦手な生徒ほど絶対に正解しないといけません。
今回の記事で取り上げた間違いは本当によく見られるものですが、
正しい書き方さえ分かれば、方程式についての理解が進むはずです。
数学に“自己流”は通用しません。まずは正しい形を理解して、扱えるようになりましょう!